暑さ寒さも彼岸までといわれる通り、暑かった夏を終えて、少しずつ涼しくなってまいりました。皆様、いかがお過ごしのことでしょうか。
蝉の鳴き声が段々と少なくなっていきますと、夏も終わりだなあと、どこか悲しい気持ちになります。
昨今では、無差別な戦争、コロナ感染症ウイルスの蔓延などで人々の生活が脅かされて、一寸先のことも分からず、闇の中を歩いているような思いです。それに加え、私たちは、明治以来、西欧の文化を大急ぎで取り入れて、情報社会の中で暮らしているうちに、物事の捉え方も急ぎ足になっている気がしてなりません。もちろんテクノロジーが進化して、経済が発展していくことは良いことだと思いますが、そればかりが良いとは思いません。そのような世の中だからこそ、私も含め、皆様には、いったん足を止めて、改めて自己を見つめ直して、心のはたらきに目を向けていただきたいと思います。
いざ自己を振り返ってみますと、自分はなんと平凡、無力であろうかと思い知ります。
仏教ではこのことを凡夫(ぼんぶ)といいます。なかなか自分の感情をコントロールできなかったり、あれが欲しいと一回でも思ったら最後、それが手に入るまでいてもたってもいられなくなる・・・など、様々な場面で自分の愚かさに気づかされます。
浄土宗では、我々はこのような人間(凡夫)であることに気づき(凡夫の自覚)、己の力ではいかんとする事もできない我々を、大慈悲で済度してくださる阿弥陀仏の「我が名を称えよ」という簡易な称名の道を信じ、一心に「南無阿弥陀仏」とお称えするのです。
お彼岸の時期は西にある極楽浄土を想い、真西に沈み行く太陽を観ながら自己を見つめ直す絶好の機会です。
「捨此往彼 蓮華化生」という言葉があります。
我々のこの世界を離れ、極楽浄土に往生するという意味です。
この場でいう彼とは、極楽浄土を意味します。お彼岸期間に夕日を観て極楽浄土を想う・・・
是非この機会に改めてゆっくりと自己を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
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